目次へ戻る

第3章 紙箱でピンホールカメラを作ろう 

【3.ピンホールカメラ(紙箱)の製作】

【始めに】
この章の紙箱ピンホールカメラの作り方は、友人でもある、優れたピンホール写真家のエドワード・レビンソンさんの初心者向けワークショップで、教えている内容とほぼ同じです。 本格的にフィルムで撮影する場合は、別の製作方法が必要ですが、初心者向けには、この作り方が、最適な方法です。 ここでは、感光材料は、フィルムではなく、引伸ばしに使う、モノクロ印画紙を使います。 ピンホールカメラの原理と楽しみを知るには、この作り方で十分でしょう。
次章では、空き缶に4×5のシートフィルムをセットするピンホールカメラの作り方を載せます。
また、別の章では、撮影の方法を、さらに、印画紙の現像方法や、ポジの作り方を載せます。

このページで案内した作り方で実行される場合、安全には、自己責任において、十分注意して実施してください。 不注意で、怪我や、事故をされた場合、著者は、一切、いかなる責任も負いません。  

用意するもの

1.紙製の空き箱
  大きさは自由だが、キャビネサイズの印画紙が底にセットできる大きさが、使いやすい。
  箱の深さは、7cm〜10cm位が、第2章で作ったピンホールに適している。
2.艶消し黒のスプレー・古新聞紙
3.無光沢で光を通さない、黒テープ。(推奨:「パーマセル黒テープ」写真材料店にある)
4.2章で作ったピンホールの板
5.カッターとはさみ
6.黒マジックと鉛筆
7.定規その他(ガムテープなど)

1.箱の準備作業

1-1.
箱のふたと本体、両方の内側を、艶消し黒のスプレーをムラなく吹き付けます。箱の外側が汚れると、見苦しいので、古新聞紙でカバーしておくと良いでしょう。  乾くまでゴミの入らない場所で、乾かしましょう。

1-2.
乾いたら、蓋にピンホールをセットする孔(あな)を開けます。 対角線を定規であたり、中心を見つけます。 定規とカッターで中心に、正方形または、長方形の孔を開けます。一辺が5mm〜1cm位。 開けた後、孔の周囲は黒マジックで塗っておくと良い。(02.08.16追加)

2. ピンホールの取り付け

2-1.
まず、ピンホールを開けたアルミの板を箱のふたの裏側から、黒テープで付けます。 外側から見て、ピンホールが孔の中心に来るように。

2-2.
黒テープで貼ったアルミ板の内側は、マジックで黒く塗ります。 箱の内側と同様、反射をなるべく防ぐためです。 ピンホールから入る光は、とても弱いので、内部での無駄な反射が、画像に影響するためです。 ただし、このとき、ピンホール自体にマジックがかからないようにします。せっかく開けた孔の円がいびつになるのを防ぐためです。
(第2章でピンホールを開ける前に、アルミ板自体を艶消し黒スプレーで塗っておくことも、1つの方法です)

3. 箱本体側の製作

3-1.
底面に、黒テープを粘着面を外側にした輪を2つほど作り、適当な場所に付けます。 ここに印画紙の裏面を貼り付けさせるわけです。あくまでも一番簡便な方法です。 印画紙は、暗室でセットし、撮影後は、また暗室で取り出します。
☆もし用意した箱のふたが浅い(本体との重なり部分が狭い)場合は、暗室で印画紙をセットして、ふたをした後、外側からテープを巻いて、光漏れを防ぎます。 また、浅いふたの箱の場合、ふた側に印画紙をセットして、本体の底面に、ピンホールを付ける、逆のやり方の方が、印画紙の着脱が楽になります。

3-2.
箱のふたが開けやすい場合は要りませんが、ふたが本体の底面までかぶるタイプの箱は、開けやすいように、外側に黒テープ(これはガムテープでよい)を折り曲げ、引っ張れるガイドをつけておくと、暗室での作業が楽になります。

4. 箱ふた側の製作

4-1.
外側から、ピンホールをセットした孔の両側に、補強のため黒テープを張ります。上下にも貼り、井桁にしてもOKです。
端を少し折り曲げた、黒テープを、ピンホールを覆うように付けます。 これがシャッターになります。

4-2.
ふたの上面と側面に、図のような、斜めの補助線を入れます。先端は、ピンホールのある中心で、足は、だいたいの印画紙の幅(高さ)で引きます。 このカメラはファインダーがないので、慣れないとどこを撮っているのかわかりませんが、この線を前方の延長した、内側の範囲が、縦横とも、写る範囲ですので、目安になります。

5. 完成

これで、ピンホールカメラの完成です。 
想像したより、簡単だったでしょう。 しかし、このカメラでも、十分、芸術性のある、ピンホール写真が撮れます。

数十万円もする、高価なカメラを使ったとしても、それだけで、良い写真が撮れるわけではありません。 このピンホールカメラで、素敵な写真を撮ってください。 ピンホールだからこそ、普通のカメラでは、真似のできない、写真が撮れます。 後は感性次第です。
第5章で、実際に撮影するやり方を載せます。

6.光漏れのテスト

せっかく作ったピンホールカメラが光漏れ(ピンホール=針孔以外から光が入ること)があっては、何もなりません。 
簡単なテストとしては、中に1枚、未使用の印画紙を入れ、ピンホールを覆うテープを絶対にはがさず、日中、できれば直射日光下に5分以上放置して行います。これを暗室で現像してみて、真っ白であれば、光漏れはありません。真っ黒になったり、グレーになるときは、どこか光漏れがあります。暗室内で、箱の中に電球を入れて外側からチェックする、また、怪しい個所は、黒テープで貼るなどの処置が必要です。特に木製で作ったカメラ用の箱は、思わぬ部分から光が漏れることがありますので、余裕があれば、ぜひテストしてから、撮影に移ってください。

 

このカメラで撮れるピンホール写真の例

公開:2002.5.13 更新:2010.7.7

目次へ戻る

copyright © 2002 Toshihiro HAYASHI all rights reserved.

無断転載は一切禁止します。