Essay


【湾岸 国道357号線沿い】

Fishing 2000    湾岸高速道(東関東自動車道)に並行して国道357号線が走っている。この357号沿いに自転車で東西に行く機会が多い。西はディズニーランド、東は幕張メッセが定番。  西に進むと橋が多く、いずれもアップダウンがきつい。車なら気にならない勾配が、自転車では実にきつい。それに風が強いとトラックの通行が多い道路からは、ゴミが容赦なく目に吹き付けてくる。大変なサイクリングコースだ。だが、その報酬として、魅力的な被写体が多い。

 1番目の写真は、市川市の高谷付近、江戸川の大橋を渡る前だ。遠景に蜃気楼のように浮かぶ煙突と建物は茜浜清掃工場。下の現場は、外環道路の工事。直線的な工事現場の風景、八角形の基礎の孔、空の流れる表情、この写真は自分が、実に気に入っているカットだ。外環道路はこの北は、菅野周辺の文教地区で、30年も住民の反対運動が続いているし、南は、話題の三番瀬にかかる訳だから完成するのかどうかは疑問だ。一部でも工事を完了して既成事実としてしまう戦術なのだろうか。
 2番目の写真も好きだ。これは市川二俣新町付近の橋から撮った鉄橋。何年も前、レンズで撮っていた頃、同じ位置から同じアングルで、645判の中判フォーマットカメラで撮ったことがある。今見て、その写真とこのピンホール写真を比べると、オモチャみたいなピンホールカメラで撮った、このカットの方が俄然良い。細部まで描写することと、微妙な感性を出すことは明らかに違う。鉄が語り始めるような気がする。写真とは解像度では無いということだ。  この道路沿い、特に橋の上で撮るときは、トラックの振動が凄くて、三脚が揺れてしまうのが難点だ。  

一方、東へ進むと環境は比較的穏やかだ。船橋から行く場合、ららぽーとから谷津干潟へ至る。更に秋津公園(習志野市)、香澄公園(千葉市)と緑の中を行くことが多い。楽しめるサイクリングだ。その分、ダイナミックな被写体は少ないかもしれない。3番目の写真は谷津干潟の駐車場から357への出口にある、土止めのコンクリート構造物。季節によってはブロックの間から黄色い花が咲く。樹や草がコンクリの構造物を親和させているような、こんな風景が好きだ。
 4番目のラストの写真は、香澄公園の東出口を出たあたりの道路の隔壁で、半透明になっているので、逆光の夕陽がとても良かった。
 この先の幕張メッセや新しいマンション群も、いずれはピンホールで攻めてみたい対象だが、今はあまりにも人工的で、新しすぎて、何回かトライしているがはね返されている。

(2001年6月)

 

 

 

 

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