生まれた地であり今も暮らしている、船橋とその周辺で、家から自転車で往復可能な範囲の風景です。
毎日通る道で撮った風景もあります。見慣れているのに、なぜか飽きません。この土地の持つ、「boundary」=「境界的な風景」をモノクロームで撮りました。境界とは、都会と田舎の境界、自然と人工物の境界、そして、調和と混沌との境界という意です。私たちをとりまく、現代の微妙な、危ういバランスを感じていただけたら幸いです。
すべての作品はピンホール(針穴)カメラで撮られています。ピンホールには、独特な光の素直さと柔らかさがあります。一枚撮影するのに手間も時間もかかります。だからこそ、対象との対話が十分にできるのです。また、露光時間が長いので、時の流れが一枚の写真に凝縮されます。普通のカメラでは撮影時、シャッターを「切る」といいますが、ピンホールカメラの撮影は、じっくりと光を「ため込む」作業です。
そんなピンホール写真に惹かれて、撮りためてきました。どうぞ、ゆっくりとご鑑賞ください。
2000年11月
林 敏 弘